oku096’s diary

男子校出身の日常

二郎系ラーメンが食べたい

男というのは馬鹿な生き物であり、時に彼らは男らしくなることこそが絶対的正義と言わんばかりに見た目を改造しようとする。筋肉モリモリになるためにアホみたいにプロテインを主食にしてみたり、身長が欲しくてぐんぐんグルトをガブ飲みしたりするのである。しかしこれは肉食系のやり方だ。

 

ひと昔前に草食系男子という言葉が流行った。草食系男子とは“異性にガツガツしていない、恋愛に対して消極的な男” のことで千葉雄大とか小池徹平とかそういう俳優を思い浮かべ、どちらかと言うとナヨっとした塩顔な男子を想像する。草食系男子というのは別に悪いものでもないし、自分も草食系男子なのだと胸を張っていた。それがどうだろう、友人に「お前は草食系じゃないよ、草、草だよ‪‪w‪ww」と言われてしまった。なんだ草系男子とは。草薙か?は?ネガティブなめんなよ!

 

まあこんなわけで一刻も早く男らしくなりたかったんですね。で、なにをしたらいいのか?出来れば一瞬で終わるものがいい。その答えは完全に二郎系だった。

 

小汚い小さな店舗にそれに反比例するかのようなデカい店員。柔道部の部活中に負けないほどの熱気と威勢のいい声が常に鳴り響いている店内で、柔道部の1週間洗っていない柔道着にも負けないほどの汚さと汗が白く吹き出した黒Tシャツを着た店員がまるで稽古中のように作るのは、油とにんにくしかないスープに大盛り300グラムの太ちぢれ麺をぶち込み豚チャーシューを敷き詰めてその上からもやしを限界までのせるというラーメン、これが二郎系ラーメンである。そしてこの二郎系を食すことこそが男らしい男というものだ。

 

そういう訳で2週間前に初めて二郎系ラーメンというものを食べに行くことにした。男子大学生というのはあれを好んで食べるようだが、僕には向いてなかった。牛乳を飲んだコップで麦茶を飲んでしまった後くらい気持ち悪くなった。僕は根っからの草だったのだ。その後1週間ちょくちょくお腹が痛くなった。時には夜も眠れずゲリゲリピーと戦ったりした。これが僕が男らしくなることの引き換えに受けた代償であると思っていた。

 

昨晩Twitterのトレンド欄を見ていると “大阪のラーメン店”  というのがあり気になり見てみると、そこには“大阪の人気ラーメン店 2日~16日合わせて39人食中毒” というニュースがあった。紛れもなくこの前行ったラーメン屋で時期もかぶっていた。この40人目は僕である。男らしくなりたかっただけなのに、食中毒になっただけだった。

 

この店コロナ対策についてはどこのラーメン屋よりもうるさく、マスク無しでは店内に入れず、入店時は必ずアルコール消毒、外での3、40人の行列にも1m置きにコーンが置かれ、連れでも1mの距離を離れなければいかつい店員に “1mあけろ言うたやんけえ”  と怒鳴られる。そんな店が本命の食中毒対策が不十分だったのである。まさに頭隠して尻隠さずとはこのことだ。僕の体に食中毒の歴史を刻んだこの店を僕は許さない。もう僕は二度とこの店には行かないだろう。

 

(1時間25分)